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​担当者:森田 秋子・菱川 法和

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CBA日記

失語症退院患者さまの集い「てくてくの会」に参加して思うこと


 梅雨明けきらない7月の土曜日、鵜飼リハビリテーション病院を退院された失語症患者さまの集い「てくてくの会」第1回を開催した。ご家族を含む30名を超える方々がお集まりくださり、スタッフを含めると総勢60名近い参加者であった。初対面の方が多い中、開始当初から参加者の気持ちが1つになっていくのが感じられた。グループディスカッション後の報告会は、急きょ全員参加で行うことにしたが、病気をされてからのご苦労、痛み、そして前向きに生きていく明るさと強さを、それぞれの方が、ことばで、表情で、文字で、身振りで示してくださり大いに盛り上がった。最後は感動の涙、涙…であった。参加されていただいた若手スタッフにも学ぶことの大きい、ほんとうに素晴らしい1日になった。

 これまで、幾度となく患者さまの会に関わらせていただいた。初めに働いた徳丸病院には開院の年に入職したが、翌年に退院患者さま5名をお招きして「退院患者さまの集い(のちにカンナ会と命名)」を実施した。その後20年以上継続して開催し、多くのスタッフはリハビリテーションの何たるかを、カンナ会から学んだ。地域で生活される患者さまから教えていただくことは、ほんとうに多い。徳丸時代、国際医療福祉大学時代と、失語症友の会にも関わらせていただいたが、自分が立ち上げに関わったのは初めての経験であり、感慨深く、嬉しく思う。今まで出会ったすべての患者さまへの恩返しのつもりで、務めさせていただいている。

 会の運営の中核は、当院ST部門主任の小林瑞穂さんが担い、総責任者として大車輪の活躍で当日まで走り抜けた。そばで見ているのは楽しかった。失語症患者さまの集いを行う際に重要なのはグループ分けである。年齢や状況、障害の特徴が異なる中、お互いに共感し自分の思いも伝え合っていただくために、メンバー構成には十分な配慮が必要である。小林采配が的確であったこと、またそれぞれの班の進行を任された当法人リーダーSTがそれぞれの班の進行に求められる視点を理解し堅実に仕事を果たしたこと、が成功につながった。後輩STが、その背中を見て同じように育っていくことを願う。

 さて、話は変わるが、失語症者のコミュニケーションに影響を与えるものとして、言語機能(失語症のタイプと重症度)、認知機能、性格、興味、心理状態、価値観、生活習慣、などがある。回復期では、言語機能と認知機能に目が向いてしまいがちになるが、地域の失語症者と会話するときには、個人個人によって異なるその他の要因が大きく関与することを感じさせられる。性格、興味、心理、価値、習慣などは個人要因であり、認知機能とは別のものと感じるかもしれないが、実はこれらは認知機能と大きく関わっている。(実は、認知機能の一部なのかもしれない。)

 認知機能とコミュニケーションの関係は、大変興味深い。人と人が思いを伝え合いたいと思うのはどのような時か。興味関心があるなら、必死に伝えようと思う。価値観を尊重されれば、質問に応じようと思う。習慣にはなじみや親しみがあり、安心感を持って伝えられる。性格を配慮した関りをすれば、大切にされていると感じられる。こうした構造を理解していることで、人をその気にさせるコミュニケーションが進められる。リハビリテーション専門職には欠かすことのできないスキルであると思う。

 伝わらないとあきらめていた人が、少しでも伝えようと思うこと、そのために出かけていこうとすること、そんな場所になれるように、次回「てくてくの会」を企画しよう。

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