2016年を振り返って

年の瀬の2年次研修発表会は、大いに盛り上がった。
発表の2事例とも、介助量の多い重症事例で(1例は年齢が若く、まだ変化が期待できる!)、退院後のリハビリテーションがいかにあるべきかを考えさせられる難しいケースであったが、回復期チームからも訪問チームからもそうそうたるメンバーが参加し、貴重な事例を発表してくれたかわいい2年目スタッフそっちのけで、熱い議論が戦わされた。研修終了後も両チームのディスカッションは1時間も続けられたというから、その熱さに舌を巻く。
(注:2年次研修とは、入職2年目のスタッフが、自分が担当したケースの訪問同行等を行い、退院後の変化を含めて報告し、参加者との議論を行う研修です)
感じたことはいくつもあるが、CBA日記らしい話題について、振り返ることにしたい。
当院スタッフのCBA理解度は、ここへ来て格段の進歩を遂げているが、臨床指標としての意味を持てるようになってきている点に、重要な意味があると感じる。
最近よくご指摘を受けることがある。在宅におけるCBAの得点には、機能以外の要素が含まれているのではないか、という疑問である。実は、私自身は当初よりCBAの得点は厳密に「高次脳機能」だけの数値とはいえない、と思っている。先日いただいたご意見は、「持っている力を引き出したかどうか」をみているというご指摘であった。様々な理由から、能力はあっても引き出されない利用者の方は少なくない。だから、機能として存在する力を、外に引き出すことが重要である。CBAは「機能」「能力」「アプローチ」「参加機会」「環境」などを包括した、極めて広いリハビリテーションの臨床指標になる可能性がある、いや、そうしていかなければならない、というのが、最近の思いである。入院から退院後に続く患者さまの生活の流れを議論する上で、2つの時期に橋を架け、共通の議論をするための重宝な道具である。CBAの得点は、患者さまの全体像をとらえる手立てであり、それぞれのレベルの方に求められる意味ある働きかけとは何かを考えるための軸となり得る。
回復期チ-ムと在宅期チームが真の連携を進めることは、一筋縄ではないが、当法人においては「一山超えたか」と思える年の瀬であった。回復期チームでは、年明け早々新たなCBA活用戦略に向けて会議が開催される予定であり、一足お先に訪問チームでは師走の夜、PTの猛者たちを対象に伊藤梓ST副主任がCBAの勉強会を開催した。かねてより、訪問チームにてCBAを取り入れていく腹案を抱いていた清水主任が、活動を開始した。
CBAに話がそれてしまったが、言いたかったことは、今年もいろいろあったが、回復期チーム、生活期チームが、侃侃諤諤、切磋琢磨の時間を越え、終わってみれば(もちろんまだ道半ばではあるが)、両者の連携は一歩進んで次の段階に突入したと感じる。ここから先は手を抜くことなく、時代を見据え、内輪でぶつかりあっているような状況に真っ向から向き合い、強い覚悟で地域に貢献していく法人を目指して、来年も進んでいくことにしよう。
「書く、書く」といいながら書かなかった機能評価のことについて、一言コメントしたい。
機能評価は当院にとって、大きな転機となったことを実感している。1つには、全スタッフが今求められていることへの共通認識を持ち、システム整備、質の向上に向かう転機点となることである。(そうできるかどうかは、これからにかかっている。) 質の向上の中には、倫理教育、復職リハなどいつくかご指摘いただいたが、何と言っても「データ収集」にまつわるやり取りの中にこそ、最大の示唆があった。ご指摘いただいた点は、今当院が一歩階段を登るために探していた「答え」のようなものである